ポリマー原料の発酵生産を目指した油糧微生物の分子育種

阪本 鷹行
(徳島大学 大学院生物資源産業学研究部 助教)

2016年9月6日火曜日

植物を助けるキノコ

気が付けば、夜にはコオロギなど秋の虫の声が聞こえるようになりました。
しかし、今年はツクツクボウシの声を聞かなかった気がします(in 徳島)。

さて、いよいよキノコの旬(?)ですね! やはりキノコの話をさせていただきたく存じます。

といっても私の仕事ではなく、先日掲載された論文が面白かったので、そちらを話のネタにしたいと思います。静岡大学の河岸教授の研究室のお仕事です。
(研究室HP: http://www.agr.shizuoka.ac.jp/c/biochem/ )

ざっくり申し上げると、『キノコが植物の生育を促進する化合物を出している』 というものです。
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1340354016300377

キノコには地上部で環状に子実体を形成する種があり、日本では”菌輪”あるいは”菌環”と呼ばれます。

残念ながら最近出会っていないので写真等はありませんので、Wikipedia先生からの転載で、リンクも貼らせていただきます。

(Wikipediaより転載; https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%8C%E8%BC%AA

菌輪の発生には諸説あるようですが、マツタケの発生調査の結果から、楕円状のコロニー(菌糸)が重なってできるといわれています。つまり、この一帯にはキノコの菌糸が幾重かに張り巡らされているということですね。
面白いことに、この輪の中だけ植物の成長が異常に良くなる(あるいは悪くなる)という現象が見られることがあります。このことから、北欧では妖精が輪になって踊った跡とされ”fairy ring(妖精の輪)”などと呼ばれています。

植物の成長が阻害されるのは、菌が栄養を使ったり、菌膜によって植物が窒息するためとされていますが、成長を促進する場合は菌糸が化合物を分泌しているためであるとされています。河岸教授の研究室では、以前にコムラサキシメジ(Lepista sordida)というキノコから、植物の生長促進化合物を単離されていましたが、今回は他のキノコ(Russula vinosa: ベニタケの仲間)から同様の成長促進効果を持つ化合物を単離しておられます。

植物を助けることでキノコ側にメリットがあるのか、結果的に成長促進してしまっているだけなのか、相互関係は分かりませんが、菌根菌と植物との間にインタラクションがあるのであれば、マツタケなどの発生ファクターへの手がかりになるかも知れませんね。

現象から原因物質を見つけるのは非常に難しく、私も現在同様の研究に携わっておりますが、分画方法に頭を抱えております。
このようにスッキリした結果が発表できるように精進したいと思います。その時はご一読いただければと思います。

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